天主教輔仁大学プログラム 招聘研究者

許 毓良 / xu yuliang

経歴
1997年国立 中興大学 歴史学系
1999年国立 政治大学 歴史学研究所 修士課程修了
2004年国立 台湾師範大学 歴史学研究所 博士課程 修了
2006年中国社会科学院 近代史研究所 博士後研究
2007年国立 中央大学 歴史学研究所 博士後研究
2010年~私立 天主教輔仁大学 進修部 歴史学系 助理教授

研究テーマ
1945-1949年日本の雑誌の台湾に関する報道

1945-1949年は台湾の歴史にとって、実に特殊で重要な時期である。

特殊性について言えば、台湾における民国期の最後の4年であり、
重要性について言えば、戦後台湾の最初の4年でもある。


この4年間は、同じ期間でありながら、歴史区分上、二つの異なる結論を導きだすことができる。

これはまさに、台湾の歴史がその他の国々の歴史の特色と全く異なることを説明しているのである。

私の最新の研究テーマは、
「民国期1945-1949の台湾:雑誌・定期刊行物による研究」である。

該当する4年間に、台湾は度重なる重大な変革を行った。

第一に、政治上では、中華民国の領土の一部分となった。
この時の中華民国は南京国民政府で、国民政府主席の蒋介石の指導下にあり、
初代台湾省行政長官の陳儀が台湾に入り接収を行った。
陳儀は政治を執り行わず、ついには1947年「二二八事件」が勃発した。

第二に、社会上では、「本省人」と「外省人」との差別視を引き起こした。
1945年は、台湾人にとっては、まさに日本の殖民統治を離脱し、
中国への台湾復帰を喜んだ時である。
しかし、中国人にとっては、むしろ戦勝者の態度で台湾を訪れ、
総督府の残した産業や施設を接収したのである。
台湾人が次第にこのような現実を理解した後に、
中国から来た人をみな「外省人」とし、
同時にこの時中国から来た人々もまた台湾人を「本省人」と呼んだのである 。


第三に、文化上では日本文化を除去し、中国化をすすめた。
1936-1945年の間、台湾総督府は「皇民化」政策を積極的に推進した。
この十年間に、台湾人は日本文化、日本語をよく学習し、
それまでの漢文化と漢語を捨て去った。
こうして、接収後に台湾を訪れた中国人が、台湾社会と台湾人を見た時には、
それはもはや日本社会と日本人と同じであったのである。
よって、1945-1949年、国民政府の官吏は、中国文化と中文化とを全力をあげて促進し、
日本人のようになった台湾人を中国人のように短期間で改造することを企てたのである。

1945年8月、日本はすでに台湾統治を終結させて、
理論上は前述のように、すべて中国の内政に属し、日本は無関係であった。

しかし1945-1949年の間は、送還を待つ日本人が少なからずなお台湾に留まっていた。

彼らは、この際の台湾の改変をいかに評価していただろうか。

また、1949年中華民国政府が大陸の統治をやめて
台湾に流入したのをどのように見ていたのであろうか。

かつて統治していた土地のこのような変局を、日本の各界はいかに評価していたか。

私はこのテーマの研究として、すでに4篇の文章を発表した 。

同時に北京大学図書館・北京国家図書館に継続的に、
1945-1949年に大陸で発行された台湾に関する報道のある雑誌・定期刊行物を調査している。

今回の来日では、同時期の日本の雑誌(表一参照)の台湾に関する記事も調査し、
台湾・中国以外の第三者からの視点を補いたいと思う。

*1 事実、1945-1949年中国から来た人々は、
台湾では自ら「内地人」あるいは「国内人」と称し、
戸籍も非台湾人として区別された。
拙稿「「內地」與「內地人」『新新』第2巻第1期,1947年1月,p.25参照。
*2  許毓良「戦後台湾史研究的開啟:
以1945-1949年台湾各類型雑誌刊載的內容為例(上)」
『輔仁歷史学報』第21期、2008年7月、191-251頁;
許毓良「戦後台湾史研究的開啟:
以1945-1949年台湾各類型雜誌刊載的內容為例(下)」
『輔仁歷史学報』第23期、2009年7月、267-336頁;
許毓良「戦後初期中国對台湾的認識1945-1949
─以「旅行雑誌」為例的討論」第五屆文化交流史:
「中心」與「邊緣」的互動国際学術研討会,天主教輔仁大学歷史系,台北,
2009年5月15-16日、1-87頁;
許毓良「看圖說歷史:1945-1949年《旅行雜誌》照片中的台湾圖像」
全球化中的多元思維─第四屆「輔仁大学與中國人民大学聯合研討会」、
天主教輔仁大学文学院、台北、2009年10月2日、1-92頁。
表一 1945-1949年日本発行の雑誌
編号雑誌、期刊名称編号雑誌、期刊名称編号雑誌、期刊名称
1.新文庫2.実話雑誌3.農業日本
4.機械化農業5.科学農業6.友の家農
7.新潮8.新しい世界9.テラス
10.近代映画11.歌劇グラフ12.青空
13.時事世界14.科学朝日15.美術雑誌
16.藝苑17.自由文藝18.文藝春秋
19.世界20.保健同人21.共楽
22.ナンバーワン23.りべらる24.擁抱
25.理想